おじいちゃんの歯

佐野市立田沼東中学校三年 山田 稟乃

 私には七十七歳の祖父がいます。祖父は私が小さい時から面倒をみてもらっていて、私にとって大好きな、そして大切な家族です。その大切な祖父にショックなことが起こりました。
 昨年の秋、祖父は突然胸の痛みをおぼえ、病院に行きました。そして、肺ガンと診断されました。ガンと診断されたので、ガンの治療を始めるのかと思ったら、祖父は最初に歯の治療をしたのです。私はガンと診断されたのであればガンの治療をするのがあたりまえだと思っていたので、ビックリしました。そして、私はその治療になんの意味があるのかがわからなかったので、祖父に聞いてみました。
「おじいちゃん、なんでガンの治療じゃなくて、歯の治療をするの?」
「それはね。病気になったとしても、おばあちゃんのおいしい料理を最期まで食べたいなって思ったからかな。」
「ふふっ。すてきだね。」
「それに、食べないとこれからの治療に大切な体力もつけられないしね。」
と、話してくれました。冗談まじりで話してくれた話には、祖父の愛も含まれているように感じました。
 私はこの話を聞いたときに、歯の大切さが分かりました。祖父はガンの治療を続けながら祖母の料理をおいしそうに食べ、それが日々の幸せとなり、今を頑張れています。今もし丈夫な歯がなくておいしいものが食べられなくなると、祖父は元気がなくなってしまうと考えると、私は歯を大切にし、虫歯がないようにしなければいけないと思いました。
 先日、母から「八〇二〇運動」が話題となっていることを聞きました。「八〇二〇運動」というのは、「八十歳になっても二十本以上自分の歯を保とう」という運動です。楽しく充実した食生活を続けるために健康な歯を保つことが大切と聞いたとき、祖父が話していたことと同じだと思いました。
 健康を保つために食べ、食べるためには歯の健康が大切だと知った時、体のいろいろな部分の動きは相互につながっていて、その一つ一つが健康であることが、体全体の健康をつくるのだと分かりました。私は小さい時虫歯だらけで、当時母や兄に「歯は大切なんだよ」とよく言われていました。今はその言葉の意味がよく分かります。食事をいつまでも楽しめるように、そして、健康で幸せな人生が送れるように、歯も体も大切にしていきたいです。

一覧へ戻る

ページの先頭へ

一般社団法人
栃木県歯科医師会

〒320-0047
栃木県宇都宮市一の沢2丁目2番5号
TEL:028-648-0471
FAX:028-648-8149